THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE32 女優 川口春奈・俳優 林遣都【前編】

がさつなところでさえ、かわいく見えればいいなと思って演じました」(川口)

― 映画「にがくてあまい」で、川口さんは容姿端麗のデキるOLでありながら家ではズボラな野菜嫌いのマキを、林さんは料理が大好きな菜食主義のゲイ・渚を演じられましたが、どんなことを心掛けられましたか?

川口春奈・林遣都

川口:

会社と家とでギャップがあったほうがおもしろいだろうし、ガサツなところでさえ、かわいくなればいいなと思っていました。それに、抜けているところも含めて、それぐらいまでやらないと同年代の女子の共感が得られないし、そのほうがリアルのような気がしたんです。

林 :

川口さんにもマキちゃんと同じおもしろい瞬間とキュートな瞬間があって、ピッタリだなと思いました。マキちゃんのほうが感情を爆発させるけれど、マキちゃんと渚が言い合いをするドタバタシーンは楽しかったです。

川口:

マキがお父さん(中野英雄)の顔に向かって、口の中のビールをバーって吐き出すシーンも最高でしたね。ああいうシーンがあると、「やったー!」って思っちゃうんです(笑)。

林 :

僕は監督から「ゲイとベジタリアンの2点を突き詰めて演じてほしい」と厳しく言われたので、新宿二丁目で本物のゲイの方から話を聞いたんですけど、その人から最初に「私たちは扉を開けて入ってきた瞬間に、その人が本物か本物じゃないかわかるから」って言われたんです。それで人の話を聞く時の顔の角度や仕草、話し方、距離感など聞いてみないとわからない細かいことを教えてもらって、それを役に取り入れていきました。

川口:

だからなのかな。最初に会った時からゲイっぽくて、全然違和感がなかったです(笑)。

「料理を一緒に作るシーンは、ほとんど”素”でした」(林)

― ゴーヤの冷製茶碗蒸しを一緒に作るシーンで、2人の距離は一気に縮まりますね。

川口春奈・林遣都

林 :

あそこはほとんど“素”だよね(笑)。

川口:

そう。いちばんテレがありました (笑)。

林 :

監督が「渚がマキに茶碗蒸しの作り方を教えるところを蒸す過程まで一気に長回しで撮るから、そこまで2人で自由に演じてほしい」って言われて…。

川口:

でもセリフも特にないから、少し恥ずかしくて、ドキドキしながらやってました(笑)。

「林さんと真剣佑くんのシーンは、おもしろかったですね」(川口)

― 共演の方々も魅力的な人たちばかりです。

映画『にがくてあまい』

林 :

渚の初恋の人でもあるアラタを演じられた淵上泰史さんはスゴかったです。いろいろな作品を観て、ヤバい人だなというのは分かっていたんですけど、アラタが寝ている渚に口づけをしてくるシーンでは、段取りから本気モードで。キスというよりも舐め回すぐらいの勢いだったから、嫌いになりそうでしたが、とても気持ちのいい人でした(笑)。

川口:

淵上さんはあのアラタという役が見事にハマっていておもしろかったです。でも、たぶん緻密に計算して演じられていたんだと思います。普段はそんなにしゃべるタイプではないだけに、アラタになった時のスイッチの入り具合が強烈で、スゴいな~と思いましたね。

林 :

渚と、真剣佑くんが演じた後輩“ばばっち”とのやりとりを、電話で聞いていたマキが勘違いするシーンも好きでしたね。

川口:

2人のシーンはめちゃくちゃウケました。真剣佑くんもゲイっぽい雰囲気を出していたから、生々しいな~と思ったし、おもしろかったですね。

Profile

川口春奈:1995年2月10日生まれ、長崎県出身。09年にドラマ「東京DOGS」で女優デビュー。12年に「桜蘭高校ホスト部」で映画初主演。代表作は「マダム・マーマレードの異常な謎」(13)、「好きっていいなよ。」(14)、「幕末高校生」(14)、「クリーピー 偽りの隣人」(16)など。待機作は17年2月公開の「一週間フレンズ。」など。 林遣都:1990年12月6日生まれ、滋賀県出身。07年に映画「バッテリー」の主演で俳優デビュー。待機作は8/6(土)公開の「花芯」、10/8(土)公開の「グッドモーニングショー」、17年春公開の「しゃぼん玉」など。9/6(火)〜公演の初舞台「家族の基礎」にも出演。現在放送中の「ON異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」(毎週火曜/KTV・CX系)に出演中。
撮影=野口彈 取材・文=イソガイマサト スタイリング=山本隆司(川口)、菊池陽之介(林) ヘアメイク=板倉タクマ (ヌーデ/川口)、伊藤 聡(林)

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