THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE39 俳優 千葉雄大

“第一印象は、出演シーンが「ほとんどキスシーンだなあ」と(笑)

暗黒女子

―映画『暗黒女子』は、セレブな女子高等学院の文学サークルが舞台です。それゆえ女子だらけの現場でしたが、“黒一点”としてどう過ごされましたか。

女性が集団でいると思わず“怖い!”と感じてしまうので、現場に入る時は委縮しました。撮影中はいつも片隅で大人しくしていましたよ(笑)。もっとも、僕の撮影日数がそう多くはなかったというのもありますけど。

―台本を読まれた感想は? どこにおもしろさを感じましたか。

第一印象は、自分の出演シーンが「ほとんどキスシーンだなあ」と(笑)。女子生徒が主体で進んでいく物語のなかにあって、僕が演じた北条先生は、聖職である教師の面と、その一方で一人の男でもある面を出す役どころです。その差をどう出していけるかなあ、と思っていました。

―実際に、キスシーンの撮影は、いかがでしたか?

すっごく大変でしたよ(笑)! 監督がひとしきり説明されたあと、「じゃ、任せた」とひと言おっしゃられて。引っ張っていってね、ということですが、僕自身あまりそういうシーンを演じたことがなかったので…。気持ちの入れ方が難しいというより、どう見せるか、その手順というか、さばき方というか。今回は、ふたりの“秘密の花園”的な世界観での秘め事であり、場面によっては爆発するので、ここは美しく見えたほうがいい、逆にここは乱れていたほうがいい、といったさじ加減が難しかったですね。

結末を知ってもう一度観てもおもしろいと思う。

暗黒女子

―自殺か、他殺か、それとも事故か。文学サークルの会長であるいつみの謎の死にまつわる衝撃のミステリーが展開しますが、千葉さんが考える本作の魅力は、ズバリどこでしょう?

やっぱり“イヤミス”(後味の悪さがクセになるミステリー)らしい、いかにドロドロするか、という点ですね。それが後半にギュッと詰まっているので、前半の和やかさがあとから考えると余計に怖くなる。結末を知ってもう一度観てもおもしろいと思います。

―文学サークルの部員はみんな、美しい表の顔と恐るべき裏の顔を持っています。女性のそんな姿に驚きましたか?

いえ、元々そういう印象を持っていたので(笑)。男子校出身なので、昔から女性は怖いと思っていました。ただ、それは女性に限らないかもしれないですね。彼女たちも一人一人は問題ないのに、集団になるとカーストみたいなものができるからこそ、怖くなるわけで。

いまはやったことのない役やシーンをどんどん経験したい

千葉雄大

―さて、昨年は『殿、利息でござる!』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞されるなど、役者として飛躍の時期ですね。

実は自分では、すごく中途半端な時期だと思っているんです。先生役も演じれば、まだ学生役も演じていますし…。いろんな役をやらせていただけて、すごく恵まれていますが、大勢の若手の役者のなかで“何々系”とくくられて、まだ一人の役者として見てもらえていないと思うんです。この先、そういう余計なものが排除されてからが、自分が試される、勝負だと思います。怖くもありますが、いまはやったことのない役やシーンをどんどん経験したいです。

―具体的に目指している役者像はありますか?

たくさんいるのですが、昔からレオナルド・ディカプリオが大好きです。いま気になっているのは、エズラ・ミラーやベン・ウィショーですね。特にウィショーが演じる役は、僕も挑んでみたいと思うことが多いです。

Profile

千葉雄大 俳優 1989年3月9日生まれ。宮城県出身。2010年、ドラマ「天装戦隊ゴセイジャー」で俳優デビュー。『アオハライド』(14)、「きょうは会社休みます。」(14)などで注目され、多くの映画やドラマに出演。ほか、近作に『殿、利息でござる!』(16)、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16)などがある。17年4月よりMBS・TBS系で放送開始のドラマ「ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」に主演。待機作に『ReLIFE』(4月15日公開)、『帝一の國』(4月29日公開)、『兄に愛されすぎて困ってます』(6月30日公開)、『亜人』(9月30日公開)などがある。
撮影=Kyosuke Azuma(tokyojork) 取材・文=折田千鶴子 スタイリング=澤田美幸 ヘアメイク=平山直樹(wani)

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