THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE44 女優 吉高由里子・俳優 松山ケンイチ

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「ずっと天気が悪く、重たい空気を感じたから、自然とウエットな芝居になっていった」(吉高)

― 「ユリゴコロ」で吉高さんが演じられた美紗子は殺人が生きるための“拠りどころ”になっている女性で松山さんが扮した洋介は過去の罪の意識から逃れられない男性です。

吉高:

幼少期に虫を殺したことがある人でも、ある程度の年齢になれば、その残酷な行為が気持悪くなると思うんです。でも、美紗子の場合は殺したときの興奮がエスカレートして、その衝動が剥き出しのままなんですよね。

松山:

僕が演じた洋介は、不幸を詰め込んだようなキャラクターだと思いました。ただ、周りの人からは可哀想とか憐れに見えても、本人は穏やかだったりするんですよね。

吉高由里子・松山ケンイチ

― 演じる上で心がけたことは?

吉高:

役作りみたいなことは特にしてないですね。撮影が残暑のころに始まったし、ロケをした群馬もずっと天気が悪く、重たい空気を感じたから、自然とウエットな芝居になっていった。

松山:

僕は撮影前に熊澤尚人監督から「痩せてくれ」と言われて。『聖の青春』の増量から元に戻ったところだったけど、洋介の設定を考えると確かにもっと痩せた方がいいので、そこから減量しましたね。

吉高:

しかも、寝てなかったよね。

松山:

洋介が寝てない設定だったから、毎晩ゲームをしながら気絶するまで起きていた。

吉高:

だから、撮影中は顔色悪くてね(笑)。

松山:

でも、非日常だから楽しめるんだよ。

吉高:

私も人を殺すシーンの撮影はやりがいがありましたよ。初挑戦だし、殺す側も殺される側も緊張感があるし、すべて違う殺し方をするから。でも、血のりは大変だった。狙いと違う方に血が流れたときは、床を拭いてもう1回という大変な作業をしていたしね(笑)。

吉高由里子

「子供も含めて、自分は家族に寄りかからせてもらっていますね」(松山)

― 街で偶然出会った美紗子と洋介は、不思議な引力で次第に惹かれ合っていきます。

松山ケンイチ

吉高:

人を殺すことがそれまでの美紗子の生きる拠りどころだったけれど、洋介に対してはその衝動が起きなくて、いままで味わったことのない感情が芽生えたんでしょうね。“その感情が何なのか”をもっと知りたくて親密な関係になっていったと思います。

松山:

美紗子は、近づいてくるというより最初から近くにいる。由里子ちゃんのその距離感は本当に絶妙だった(笑)。

― 洋介が美沙子に「僕のために子供を産んで欲しい」と頼むシーンは、本作の肝ですね。

松山:

あそこはいちばん大変でした。事故とは言え他人の子供を殺した過去がある洋介は、それを言う権利はないと思っていたんだけど、思わず口に出てしまった。でも、僕はうまく言えず、テイクを重ねてしまい吉高さんにも迷惑をかけちゃいました。

吉高:

私は嬉しかったですよ。そのひと言だけだけど、自分の気持ちが収まるところまでとことんやる松山さんの姿勢は素敵でした。

― 最後に、おふたりにとっての“ユリゴコロ”=心の拠りどころを教えてください。

映画「ユリゴコロ」

松山:

僕は家族です。子供も含めて、自分は家族に寄りかからせてもらっていますね。

吉高:

私は睡眠ですね。10時間ぐらい余裕で寝られるし、休日もすべて寝る時間に使っちゃうときがあります。寝たらイヤなことも忘れるし、頭も身体も気持ち的にもすべて回復できるから睡眠は大事ですね。

Profile

吉高由里子 1988年生まれ。東京都出身。06年に映画デビュー。主な出演作に『蛇にピアス』(08)、『僕等がいた 前篇・後篇』(12)、『横道世之介』(13)、『真夏の方程式』(13)など。『検察側の罪人』が18年公開予定。松山ケンイチ 1985年生まれ。青森県出身。主な出演作に『デスノート』(06)、『人のセックスを笑うな』(08)、『カムイ外伝』(09)、『ノルウェイの森』(10)、『怒り』(16)、『聖の青春』(16)など。 劇団☆新幹線の舞台「髑髏城の七人<風>」が上演中。
撮影=中野修也 取材・文=イソガイマサト
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