映画業界に関わる著名人の方々に、様々な角度やテーマで映画にまつわるお話をまとめました。
水上 恒司俳優
これまで何度か声優のお仕事のオーディションを受けたことがあるのですが、力不足でチャンスをものにできなかったんです。今回はお話をいただきまして、嬉しくもあり、大丈夫かなと不安にもなりつつ、自分の未熟さに苦しみました。しかし、今作品の収録を通して、改めて声優界で活躍されている方々の技術の凄さを未熟なりにも体感することができました。
人間ではないキャラクターたちが登場しますが、実は描かれている感情――たとえば嫉妬や見栄、愛情や優しさ――はとても身近で、誰にでも共通する普遍的なものだと思うんです。
「もふもふ」で「かわいい」というビジュアルの魅力ももちろんあって、プロモーションではそういった側面にも触れてきましたが、いい映画、いい作品と呼ばれるものは、そうした普遍的なテーマをしっかりと描いていると思うんです。どの時代でも通じるものがあるからこそ、名作と呼ばれていて、今回の『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』にもストーリー性や、3年以上もの制作期間をかけたCGの技術的な完成度など、名作と呼ばれそうな要素とともにみなさんにお届けしていく作品であると思うので、少しでも多くの人に観てもらいたいです。
自分が演じたぞうくんは、らいおんくん(CV:松田元太)の女房のような存在なんです。らいおんくんの性格をよく理解していて、出るとこは出て見守るところは見守るような。でも、決める時は決められる、といった誰しもが隣にいてほしいと思う、デキたキャラクターです(笑)。
松田くんは、らいおんくんの愛らしさというか、愛されるポイントみたいなものを、しっかり表現されていたと思います。それは松田くん自身の声の力、そして技術力ももちろんあると思うのですが、それ以上に「その人がやる意味」みたいなものが、ちゃんと伝わってくる演技だったなという印象がありますね。
ぺがさすちゃんの歌声も本当に素晴らしかったです。そして、母性とは少し違うのですが、慈悲のようなものをペがさすちゃんから感じました。全編を通してというよりは、ところどころのシーンで「あ、慈悲を感じるな」と思える瞬間があって。それをこの若さで高石さんが表現しているのは、本当に素晴らしいことだと思いました。
最近は忙しくて映画館に行けていないのですが、飲みものくらいで、何も食べずに観るタイプですかね。僕は台本を読むときもそうなのですが、ながら見があまり得意じゃないんですよね。映画をちゃんと観るのって体力がいると思うんです。お金を払って観に行くから、集中して作品に向き合おうって感じなのかもしれません。
幼い頃からお菓子は身近な存在で、目の前にあるお菓子を一瞬でたいらげてしまう子どもでした。その頃の感覚は大人になっても残っていて、今こうして「たべっ子どうぶつ」にぞうくん役として携われたことをとても嬉しく思います。
この作品は、見た目はかわいさをまとっていますが、子どもが観てハッとするようなことって、大人が観てもハッとさせられる可能性があると思うんです。確実に心を動かす力を持っている作品だと思いますので、少しでも多くの方たちに観てほしいです。
BIOGRAPHY
1999年生まれ、福岡県出身。『望み』(20)で日本アカデミー賞新人俳優賞。また、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(23) で同賞優秀主演男優賞を受賞した。主な出演作は「中学聖日記」(18)、『弥生、ご月-君を愛した30年-』(20)、「MIU404」(20)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、『そして、バトンは渡された』(21)、『死刑にいたる病』(22)、『OUT』(23)、NHK連続テレビ小説 「ブギウギ」(23)、『熱のあとに』(24)、「ブルーモーメント」(24)、『八犬伝』(24)、『本心』(24)など。ボイスキャストは本作が初。