
映画業界に関わる著名人の方々に、様々な角度やテーマで映画にまつわるお話をまとめました。
ユースケ・サンタマリア俳優
田中 麗奈俳優
田中:
萌ちゃんの前向きさに感動しました。自分の余命が分かっても限りある時間の中で夢を叶えていく姿を見て、本当にひまわりのような女の子だなって。その主人公の力に引っ張られて、泣かされてしまいました。あとは両親の話もしっかり描かれていたこともとてもうれしくて、本当に出演したかったですし、出演できて本当によかったと思います。
ユースケ:
僕も両親がしっかり描かれている点がいいと思いましたし、よくある泣かせることに全振りしたようないわゆる余命モノとも全然違う、しっかりした話だなと思っていいなと思いました。僕たちと同世代の方はもちろん、若い世代にもおすすめしたいです。自分が10代の頃に観ていたこういう映画、よく覚えているんですよ。原風景のようなね。この作品もそういう映画になるなと、たくさんの方にぜひ観てほしいと思います。
田中:
美代子さんは、旦那さんとの役割分担ができていたというか、旦那さんが動けない時は自分自身が動いたり、強さもある人だなと思いました。もちろんもろさもあるのですが、すべては本当に娘の萌のためにエネルギーを全力で注いでいるので、愛情を持って子どもの姿を見ているというか、美代子さんは、すごく愛のある人だなとも思いました。
ユースケ:
明るくふるまっちゃいるけれど、とても重いものを背負って生きているんですよね。自分の愛する娘が余命いくばくもないなんて、それは悲しいことなのですが、それをあまり出さない。娘の家族の想い出をいいものとして残してあげたいから、それを隠して頑張っているんです。
田中:
後は、押し付けないところもいいなと思いました。萌の成長に合わせて自分自身の立ち回りも変えていくというか、それも素敵だなと思いました。過保護になり過ぎずに、ある部分は萌の判断に任せようとか、人間味ある、リアル感のある夫婦になれたかなと思っています。
ユースケ:
康介は悲しみを隠して頑張っているけれど、それを唯一共有できるのが、たったひとりの妻・美代子なんですよね。麗奈ちゃんとそういうことを話しあったわけじゃないけれど、僕はその唯一を共有できる人がいたことが勝手に心強かったです。普段明るく振る舞う康介だけれど、根っこの部分では叫び出したくなるような悲しみもある。でもそれを出すことができないなかで、何かの瞬間にそれが吹き出そうになって、ふと妻を見たら彼女もそういう感じになっている。一緒なんだなと。だから麗奈ちゃんの芝居を見て助けてもらったところも多々あります。悲しみや苦しみは自分だけじゃなく、彼女も感じながらやっているんだって。
田中:
よく行くんです。撮影中のずっと映画の話をしていました。
ユースケ:
初めて会った時も映画の話から始まりましたよね。最近は何を観ました?
田中:
石川慶監督の『遠い山なみの光』を観ました。
ユースケ:
僕は『愛はステロイド』を観に行きました。めちゃめちゃよかったですよ。最後えらいことになっていたけれど(笑)。
田中:
わたしは後ろのほうの座席が好きです。前や真ん中、いろいろとチャレンジしたのですが、後ろの席のほうがまわりの空気や、上映後に感想が聴こえたりするので、好きなんです。お客さんの空気感を味わえることも、映画館の醍醐味だと思いますね。
ユースケ:
いっぱいお客さんが入っていると、一体感が出る時があるよね。反対に人が少ない時に観た映画がけっこうよくて、オレたちこれ終わったらメシでも行こうかみたいな、変な仲間意識が出たりとかね(笑)。あと場合によりますが、もしあればプレミアムシートを取るようにしています。やっぱり映画はゆったりと観たいので。
田中:
いいですよね! わたしもゆったりしたシートで、ブラッド・ピットの『F1®/エフワン』を観たのですが、最高でした。特別なシートで観る臨場感があるというか、あと音がいいシアターも最高です。
田中:
『ストロベリームーン 余命半年の恋』というタイトルで想像すると、高校生たちの恋愛で若者の映画なのかなと思われるかもしれませんが、先ほどお話したように主人公を支えている両親の話もしっかりと描かれているので、わたしはママ友に絶対観てほしいと勧めています。家族で一緒に観に行くこともよいと思いますし、お子さんがいらっしゃる方は必ず感情移入してしまうと思うので、観ていただきたいなと思います。
ユースケ:
自分と近い年齢の登場人物、立場が近いか同じ登場人物に感情移入することがあるかもしれないですが、もしも自分が高校生の時に齋藤潤くんの立場になったらどうだろうとかいろいろな見方もできるなと、すごくしっかりした素敵な作品になったと思います。泣けるからぜひとも来て下さいとか、わたしはそんなことは言いません。すごくいい映画なので、ぜひ映画館で観てほしいなと思っています。

BIOGRAPHY
1971年生まれ、大分県出身。ラテンロックバンド「BINGO BONGO」VO&MCでデビュー。バンド解散後はタレント、俳優、司会者として活躍。映画『交渉人 真下正義』(05)では主演を務め、第29回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した。近年の主な出演作品として、ドラマ「スキャンダルイブ」(25/ABEMA)、「DOCTER PRICE」(25/YTV)「、「全領域異常解決室」(24/CX)、大河ドラマ「光る君へ」(24/NHK)、映画『アキラとあきら』(22)、『沈黙の艦隊』(23)など。MCを務めている『ナゼそこ?+』(TX)が放送中。

BIOGRAPHY
1980年生まれ、福岡県出身。映画『がんばっていきまっしょい』(98)で初主演、俳優デビューを果たす。この作品で日本アカデミー賞新人俳優賞などを始め数々の新人賞を受賞。以降、映画『はつ恋』(00)、映画『幼な子われらに生まれ』(17)でも多数の女優賞を受賞。最近の主な出演作品として、放送文化基金賞ドラマ部門最優秀賞を受賞した「神の子はつぶやく」(23)、連続テレビ小説「ブギウギ」(24)、映画『福田村事件』(23)、映画『雪風 YUKIKAZE』(25)、映画『ナイトフラワー』(25)、映画『星と月は天の穴』(25)などがある。