
映画業界に関わる著名人の方々に、様々な角度やテーマで映画にまつわるお話をまとめました。
白鳥 玉季俳優
オーディションの前に厚い台本をいただいた時に、「校則」というテーマのインパクトが大きく面白い作品だなと思ったのですが、わたしが演じることになる板緑という子の人間性にも惹かれました。ぜひやらせていただきたいなと思っていたので出演が決まったというお知らせをいただいた時、飛び上がって喜んだことを覚えています。
板緑のセリフを実際に言葉に出してみると分かるのですが、使ったことがないような言葉が本当に多くて。どこで調べたのだろうと思う言葉ばかりだったので、坂下(雄一郎)監督の脚本って本当にすごいなって思いました。板緑を演じた後、数日間くらい友だちにわざと難しい言葉を使っていたので、「何それ!?」って言われていました。
今回はウィッグなので完全に染めたわけじゃなかったのですが、髪の毛の色を変えることが今までなかったので、黒髪じゃない自分を初めて見て「こんな感じになるんだなと」とても驚きました。顔の印象など変わり違う人に見えたので、これが板緑なんだなと思いました。板緑は性格が穏やかではないので、きつそうな感じになったというか、金髪にしたことで圧を与えられそうだなと思いました。
岩田さんは普段本当にキラキラしている方というか、スターの岩田さんが、どこにでもいる30代の中学教師を演じると聞いた時、わたしも最初驚きました。2回目は、その岩田さんが衣装に身を包み、芝居をされた時のオーラの消え方にも驚きました。洋服を着ている段階ではキラキラな岩田さんだなと思っていましたが、本番の撮影が始まった瞬間に別人のように見えて、本当のスターはオーラも消せるのかととても驚きました。
お互いに膨大なセリフ量だったので、セリフ合わせをよくしていましたが、撮影が中学三年生の夏で受験前だったので、定期テストや進路をどうしようと迷っている時期だったんです。なので、そういうお話を少しさせていただきました。「大丈夫だよ」と言っていただいて、うれしかったです。人生の大先輩なので、気持ちが楽になりました。
わたしよりも年齢が上の方たちは観ると共感したという感想をいただくので、大人になってから観れば共感の意味もわかったりすると思うので、わたし自身も大人になってからもう一度観るのがとても楽しみです。きっと何も考えずに観始めても、人によっては気づいたら何かが降りてきて、でもそれが何かはわからないみたいな。そういう不思議な気持ちにもなるような作品なのかもしれません。
インドア派なので自宅で映画を観てばかりでしたが、最近映画館で映画を観るようになってからは、楽しみが増えた感じがしています。映画館で映画を観ると決めて、観に行くまでの時間もわくわくするから、楽しめる時間が映画館に行くことで増えたと思います。だから気になるなと思った映画は、できるだけ映画館で観るようにしています。
親と一緒じゃない時は、ポップコーンを買うんです。親と一緒に行くと際限なく食べ過ぎちゃって、あんまり食べないようにって言われるので。
ドラマも映画も観ます。でも、2回以上はなるべく観たくないです。反省点が出ちゃって、もっとできたのにという気持ちになって、憂鬱になってしまうんです。変な自信があるのだと思います。
わたしの同世代に方には大人の気持ちを知る機会になったり、大人になった時に得たものがわかるきっかけになると思うので、映画館に観に行ってほしいです。また、わたしより年齢が上の方たちは、岩田さん演じる市川先生の気持ちに共感する方もいると思うので、いろいろな方に観てほしいなと思います。

BIOGRAPHY
2010年生まれ、東京都出身。2016年、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」でドラマ初出演を果たすと同時に、西川美和監督の『永い言い訳』で映画デビュー。約800人の候補からオーディションで役を勝ち取った李相日監督の『流浪の月』(22)での好演をはじめ、大河ドラマ「どうする家康」(23/NHK)、映画『正欲』(23)といった話題作への出演が続く。そのほかの出演作に、今泉力哉監督作『からかい上手の高木さん』(24)、『アイミタガイ』(24)、「御手洗家、炎上する」(23/Netflix)、「0.5の男」(23/WOWOW)、「いちばんすきな花」(23/CX)、「水平線のうた」(25/NHK)など。現在、「ぼくたちん家」(25 / NTV)ではヒロインとして出演。