THE VOICE|俳優・ブレンダン・フレイザー / 監督・HIKARI

SPECIAL INTERVIEW

映画にかける思い

映画業界に関わる著名人の方々に、様々な角度やテーマで映画にまつわるお話をまとめました。

ブレンダン・フレイザー俳優

HIKARI監督

人にはいろいろな悩みがあるが、答えは最終的に自分の中にある

『レンタル・ファミリー』

──日本を舞台にした感動作『レンタル・ファミリー』が日本でも公開となりますが、映画化にあたりどのような想いで取り組まれましたか?

HIKARI監督: この映画の上映時間は1時間45分なのですが、他人同士でも家族と言えるような仲が実はできたりするというメッセージや、いろいろな想いを込めて作りました。たぶんみんなが気づいていないところで、そういう人たちは存在している。もしも自分の家族の関係が上手くいっていない人がいるならば、そこにネガティブなことを感じずに、その輪の中だけでなく、外に一歩出て新しい出会いを探す、そういった関係ができたらいいなと思って作ったところはあります。

『レンタル・ファミリー』

ブレンダン・フレイザー(以下、ブレンダン): 最初は「レンタル・ファミリーって何だろう?」と思いましたが、目から鱗でしたし、あまり聞いたことがなかったことだからこそ興味もわきました。そして、HIKARI監督と会い、すぐに友情も芽生えました。日本のスタッフ、キャストがいて、日本以外の場所から来ているのはたったひとりという状況でしたが、今から20年以上前の90年代に初めて来日した時からこういう作品をやりたいと思っていたので、今回『レンタル・ファミリー』という作品に関わる機会を与えていただいて、当時の想いが初めて満たされたような気がします。

『レンタル・ファミリー』

HIKARI監督: 人間は最終的にいろいろな想い、悩みがあると思うけれど、答えは最終的に自分の中にあるということは最後のメッセージとして伝えたいところではあったので、そこも気づいていただけたらうれしいなと思います。観ることによってストーリーの中に没頭してほしいです。

ブレンダン: 僕は日本人のキャストと仕事をすることがあこがれだったわけですが、日本で仕事をして生活している俳優さんやスタッフたちと仕事がしたかったので、まさにそのことを叶えてくれる作品でした。その作品の一部になることもできて、本当にうれしかったです。

僕自身、主人公のフィリップに通じるものがありました

『レンタル・ファミリー』

──劇中では、落ちぶれた俳優である主人公のフィリップが、“レンタルファミリー”の一員として人と関わる中で変化していく過程が描かれます。そして困っているはずの主人公が、困っている縁もゆかりもない人たちを助けていくという物語ですが、感想はいかがでしたでしょうか?

ブレンダン: ストーリーはとても知的でしたし、感動的でした。ブレンダン・フレイザーという役者に対して、みなさんはイメージや期待を持っているかもしれないですが、主人公のフィリップとはかなりかけはなれたものですよね。こういう役柄はウェルカムで、僕にとってはチャレンジする機会でもありましたし、僕自身フィリップにも通じるものがありました。

僕も3~4年ごとに引っ越すような家庭に育っていましたし、仕事も役者としていろいろなところに行くわけなので、ノマドのようにフィリップの経験に近いものを感じていました。映画作りも同じようなことが言えて、撮影が始まればみんなが集まり、終われば離れて新しい冒険に繰り出していきますよね。一作品ごとに家族が形成されていくものなんです。

『レンタル・ファミリー』

──フィリップを演じるブレンダンさんはいかがでしたか?

HIKARI監督: わたしは俳優をイメージして脚本を書くことはなくて、ストーリーをとにかく書くタイプなのですが、ブレンダンの出ている映画を観ていて「この人だ! 決定だ」と思いました。その後、とあるQ&Aでブレンダンが話している姿を見た時に、この人は愛がある人なんだと、大げさではなく感じました。

その後、ようやくこの撮影が始まって、そこで彼がお芝居をしている姿を見て感動したのですが、本当にもうパーフェクトだなと思いました。面白いですし、すごくエモーショナルだし、これだけすべてを表現できる人に出会ったことは、ありがたいなと思いました。

『レンタル・ファミリー』

──共演者との思い出はいかがでしょうか?

ブレンダン: 当時9歳だったゴーマン シャノン 眞陽さんという素晴らしい才能の持ち主と仕事ができたことも、素晴らしいことでした。エモーショナルな感性が豊かで、それに驚かされました。定義はできないものだけれど、この人は本当に素晴らしい役者なのだと思わせる、素晴らしいキャスティングだったと思います。

これは“孤独へのラブレター” 宛先は東京だけれども、世界のどこへでも向けられるものだと思う

『レンタル・ファミリー』

──日本のさまざまな場所でロケをされていますが、思い出に残っているシーンはどこでしょうか?

ブレンダン: 僕は冒頭のお葬式のシーンが思い出深いです。エキストラのみなさんが最高で、びっくりしたことを覚えています。あれは撮影の初日で、こんなエキストラさんは見たことがなかったと思うほど素晴らしくて、僕も頑張らなくちゃ、レベルアップしなくちゃと思うほど素晴らしかったんです。本当に斎場にいるような気持ちにもなりました。

『レンタル・ファミリー』

HIKARI監督: 神楽坂のお祭りの撮影には、みなさんボランティアで来てくださいました。最初の一週目だったから本当は小さいシーンから始めたかったのですが、いきなり大きなシーンで難しく厳しかったけれど、楽しかったです。全員がボランティアで衣装まで着てメイクをして、みんな来てくれて、「よしやるぞ! 手伝うよ!」と、まるで文化祭に集まるみたいな感じですかね。楽しいことを一緒に作りたいというみなさんの想いがひしひしと伝わってきて、本当に楽しかったし、嬉しかったです。

ブレンダン: みなさん来たいから来てくれたんです。そこまで約束できることって世界中でそうそうあることじゃないですし、そのおかげで作れた雰囲気が、この作品をオーセンティックなものにしてくれると思います。

『レンタル・ファミリー』

──日本の映画ファンの方々へメッセージをお願いいたします。

HIKARI監督: とにかく何も考えず、何も想像せず、劇場に来てほしいです。そのまま映画を受け止めてほしい。映画を楽しんでほしい。そこで感じるものがもしあったとしたら、それを家に帰ってじっくり考え直してほしいです。音楽はアイスランド人のヨンスィー(Sigur Rosリードボーカル)の方が手がけ、サウンドデザインも、映画館でしか体験できないことが盛りだくさんです。いろいろな発見もあると思うので、スマホでなく、大きなスクリーンで笑って泣いてほしいです。とにかく劇場で観てほしい!

『レンタル・ファミリー』

ブレンダン: 言葉を尽くしても足りないほど繰り返して言っているのですが、これは孤独へのラブレターなんです。宛先は東京だけれども、世界のどこへでも向けられるものだと思うんです。日本の観客のみなさんの孤独感が薄れるといいなと思いますし、家族の誰でもいいけれど、たとえばお母さんに電話したいきっかけになれれば、うれしく思います。

PROFILEプロフィール

ブレンダン・フレイザー

ブレンダン・
フレイザー
俳優
 >>(フィリップ)

ブレンダン・
フレイザー
俳優
 >>(フィリップ)

BIOGRAPHY

1968年12月3日生まれ、アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリス出身。90年代に『原始のマン』『青春の輝き』などに出演して注目を集めた後、『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』が大ヒットして世界的なスターになる。そのほか製作総指揮も務めた『センター・オブ・ジ・アース』など、数々の作品に出演。2022年には、ダーレン・アロノフスキー監督作『ザ・ホエール』で観る者を圧倒する演技を披露して、アカデミー賞の主演男優賞を獲得した。

PROFILEプロフィール

HIKARI

HIKARI監督

HIKARI監督

BIOGRAPHY

大阪出身。ダンサー、ミュージカルパフォーマー、画家、写真家としての経歴を誇り、受賞歴のある脚本家、監督、プロデューサー。映画『37セカンズ』で長編映画監督デビュー。同作は第69回ベルリン国際映画祭でプレミア上映され、パノラマ観客賞、CICAEアートシネマ賞のW受賞の快挙を達成。最優秀新人監督賞にもノミネートされるなど世界的に高い評価を獲得した。テレビ作品として、エミー賞受賞シリーズ「BEEF/ビーフ」の第一話監督、「TOKYO VICE」などがある。第50回トロント国際映画祭では今最も注目されるクリエーターに贈られるEmerging Talent Awardを受賞し、名実ともに世界が注目する映画監督に名を連ねたほか、第76回ベルリン国際映画祭コンペティション部門の審査員も務めた。

公開情報

『レンタル・ファミリー』
2025年2月27日(金) 公開
©2026 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

取材・構成/鴇田 崇

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