THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE61 俳優 太賀・俳優 森崎ウィン

「太賀の作品をずっと観て来たから、今回共演できてすごく嬉しかった」(森崎)

―11/16(金)公開「母さんがどんなに僕を嫌いでも」が、映像作品では初共演になるそうですが、元々は昔からのお知り合いだそうですね。

母さんがどんなに僕を嫌いでも

森崎:

もう12年来の付き合いかな

太賀:

演技のレッスンに通っていた学生の頃は、毎回レッスンの後、ご飯を食べに行って、カラオケに行って、遊んで、という日々を共に過ごして

森崎:

あんなことや、こんなこと…(笑)。すべて一緒にやったよね。僕としては一方的に太賀の作品をずっと観て来たから、今回共演できてすごく嬉しかった

―本作は、漫画家・小説家・エッセイスト・人気ブロガーとして活躍する歌川たいじさんの、自伝的な同名コミックエッセイの映画化です。太賀さんが主人公のタイジ、森崎さんが親友となるキミツを演じる上で、大切にしたのはどんなことでしょう?

母さんがどんなに僕を嫌いでも

太賀:

最初に読んだときは、すごく悲しい物語だと思いましたが、歌川さんの絵のタッチが、すごく温かくて優しいんですよ。この物語の本質は、そこにあるな、と感じた瞬間、タイジが見えた気がしました

森崎:

キミツのワードの選び方が、ユーモアとも捉えられるし、ナンセンスと言えなくもないので、すごく難しかったです。監督から、キミツの棘のある言葉の裏にある優しさを表現して欲しい、と言われて。僕自身は、そういう面を持ち合わせていないので、想像で埋めながら、遠くへ飛び込むような気持ちで演じました

太賀:

タイジは他の人が経験し得ないような辛いことの連続だったけれど、幼い頃は、婆ちゃん、青年になってからはキミツら友達に包まれ、強くなっていったんじゃないかな、と。それによって今まで蓋をして来た、ずっと疎遠だった母親と再び向き合える気持ちになったんだと思いました

「ウィンの誠実さと優しさが、彼が演じた役柄にシンクロしていた」(太賀)

―お互いの演技にグッと来たシーン、共演して引き出してもらえたという感覚があった瞬間などはありましたか。

太賀・森崎ウィン

森崎:

太賀とお母さんのシーンで、包丁で刺されてキッチンの床を這いつくばって見上げる太賀の表情が、とにかく好き。僕も現場に居たかったな、とすごく思いました

太賀:

友達4人、海辺で語り合うシーンがすごく印象に残っていて。キミツがタイジに掛けてくれる一連のセリフで、キミツの優しさも伝わったし、加えてウィンの誠実さ、人に向けてちゃんと優しさを投げ、その人を感化させたいという思いがビシビシ伝わって来て、キミツとウィンがシンクロしたんです。そのウィンの表情や情熱に影響を受け、その後の流れに繋がったと思っています

―とてもショッキングなタイトルであり内容ですが、お2人自身にとっては、お母さんというのはどんな存在ですか。

森崎:

もちろん反抗期があったし、ウザがったりもしましたが、やっぱりリスペクトが最後に残りますね。日々生活する中で、“あ、こんなこと言ってたな”と、どこかで結びつくことが多くて。それなのにいざ電話が来ると、28歳にもなって何となく向き合えず、大人になれない子供の自分がいる。いい加減、素直になれよと思うのですが(笑)

太賀:

うちは普通に仲がいいし、反抗期もなくて。僕は母親大好きですし、親バカですし。でも何かを言われて、言うことをきくわけではない。一意見としてしか聞かないような、ドライなところもあって。近すぎて定義が難しいですが、絶対的存在であることは間違いない。そんな風に、親と子の関係について考える、いいきっかけになる映画だと思います

Profile

太賀
1993年生まれ、東京都出身。06 年に俳優デビュー。08年「那須少年記」で初主演。これまでの主な出演作に「南瓜とマヨネーズ」(17)、「海を駆ける」(18)、「50回目のファーストキス」(18)などがある。 森崎ウィン 俳優 1990年生まれ、ミャンマー出身。08年にダンスボーカルユニットPrizmaXとして歌手デビュー。スティーブン・スピルバーグ監督作「レディ・プレイヤー1」(18)に出演し話題に。ほか主な出演作に「シェリー」(14)、「クジラの島の忘れもの」(18)などがある。
撮影=河内彩 取材・文=折田千鶴子
スタイリング=山田陵太(太賀)、森田晃嘉(森崎) ヘアメイク=高橋将氣(太賀)、宇田川恵司(heliotrope/森崎)

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