THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE71 声優・俳優 津田健次郎

アニメや吹替版の中だからこその言葉遣い…「貴様、なにぃ?」とかにも違和感なく言えるように

二ノ国

―アニメーション映画「二ノ国」(8/23公開)で、エスタバニア王国の征服を狙う黒旗軍の最高指導者、ガバラスを演じられた感想を教えてください。

自分の感情をさほど無理せずフィットさせ、クライマックスまで流れていくことができたと思います。台本の構造的にも、絵の演出的にも、ガバラスは映画後半でエンジンが急にかかり急発進していく感じではありましたが、演じやすい役だったと感じています。

―津田さんは舞台などで活動もされていますが、俳優と声優で役作りに違いはありますか。

基本的には変わりませんが、声優の場合は、多少ニュアンスを強めに出します。声優は多くの場合、既に“画”が存在し、それに声をあてる作業なので、画の表情がどうなっているのか、あるいは絵が醸すキャラクターの“感じ”や状況をどう捉えて声を出すか、ということになります。

―演じ方には、どのような違いを感じますか。

一番違うのは“間”ですね。実写の場合は、あと1拍おいてから喋りたいとか、自分の間を置くということができますが、アニメの場合は、画が喋っているので、それに合わせないといけない。あとは、実写のドラマや映画では使わないような言葉遣いが、アニメや吹替にはよくある、ということでしょうか。その辺りは、テクニカルなことで乗り越えるしかないのですが……。

―日常生活で使わない言葉遣いは、発する際に違和感がありませんか?

例えば「なんだとぉ」という言葉など、僕は生まれて一度も使ったことがないですし、「貴様、なにぃ?」なども、普段は言ったことがありません。最初はそれが難しいと思っていましたが、そういうものも違和感なく言えるようになってきました。

「アフレコの時に動いている賢人が可愛かった。芽郁ちゃんは生まれつき姫!」(新田)
「おっ(笑)! 嬉しい」永野

二ノ国

―ガバラスは悪役ですが、印象的な言葉をたくさん発します。

ガバラスには、ガバラスの正義があるんです。僕は悪役を演じることが多いですが、悪役って、割にしっかりした正義を持っていることが多い。ガバラスも然りで、最初は正義を持っていますが、最後はエゴにまみれ滅びていくことが多いのが悪役なんですよ。

―ガバラスはハルに、“愛する誰かを守るために、誰かの命を犠牲にしなければならない。
それが戦争だ”と迫ります。そんな状況に津田さん自身が置かれたら、どうしますか。

それはもう大変な状況で、ものすごく悩みます。すぐには決められないし、答えられない問いですね。でもハルは、本当にすごくシンプル。シンプルだからこそ、怖い。僕なら最後の最後まで、どうにか共存の道を探ることを諦めてはいけない、と思います。

―さて、その魅惑の声にご自身で気づかれたのは、いつ頃だったのでしょう?

全然ないですよ(笑)。でも僕は基本的に、声も変わる、成長するものだと思っています。もちろん最初から上手い人はいますが、歌手の方の歌が上手くなっていくように、声の質も努力である程度は変えられる。響きや深みなどによって、声も成長していけるものだと思います。

Profile

津田健次郎 声優・俳優ガバラス役 1971年生まれ、大阪府出身。95年に声優デビュー。おもな作品に「遊☆戯☆王デュエルモンスターズ」シリーズなど。
撮影=野崎航正 取材・文=折田千鶴子 スタイリング=小野知晃 (YKP) ヘアメイク=星野智子

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