THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE72 音楽家・俳優・文筆家 星野源 俳優 高橋一生 女優 高畑充希

「春之介の“変な部分”が周りに影響を与え、時代を変えていく。それが彼のカッコよさ」(星野)

―エンタテインメント時代劇「引っ越し大名」で、星野さんが主役の書庫番をする引きこもり侍・春之介を、高橋さんはその幼馴染で武道の達人・
鷹村を、高畑さんは春之介に手を貸す於蘭を演じられました。それぞれの人物像について考えたことを教えてください。

引っ越し大名!

星野:

春之介は、とてもモダンな人物だと感じました。当時の人々は、性別や階級の別なく“みんな同じ”と思っているがゆえに、春之介はルールや常識から外れてしまっていて生きづらい。けれどもそれって僕らが生きている現代の価値観、つまり未来に繋がっているわけで。そんな彼が“引っ越し奉行”というポジションを与えられたことで、その変な部分が周りにも影響を与え、時代を変えていくわけです。それが彼のカッコよさであり、魅力的な部分だと思いました

高橋:

対して鷹村は、その時代の規範や規律に従って生きている男。ただ、近くに居る“異端”の春之介に対して、どこか引っかかっているし、どこか影響されてもいて。春之介の気づきや言葉が波紋としてその時代に流布することを、鷹村は無意識のうちに補佐しているとも思いました。鷹村は豪胆でガハハと笑っていますが、ただのバカじゃない部分、人間としての繊細さや奥行をお芝居に乗せたつもりです

高畑:

於蘭さんは、強いから優しいし、優しいから強い人だな、と。優しさが過剰でないところも良くて。守るものができたら、あんなに強くなれるのかな、あんな風になれたらいいな、と女性としてすごく憧れます

星野:

そもそも於蘭は、人間力が春之介の5倍くらいあるからね(笑)。
男の人が憧れずにいられないミューズ。彼女の強さは、充希ちゃんの内から出て来る強さに繋がっていると思いました

「とにかく笑っていることが大事、と鷹村から教わりました」(高橋)「星野さん演じる春之介には“がむしゃらのカッコよさ”があります」(高畑)

―個性豊かな人物が多数登場しますが、“この人のここに学んだ”というのはありましたか?

引っ越し大名!

星野:

正名僕蔵さんが演じる悪徳勘定奉行です。あれだけみんなに嫌われても、けちょんけちょんに言われても、ちゃんと最後まで元気に生き残っていて…それがいい。何を思われようが普通にそこにいられるタフな、そんな人間になりたいです

高橋:

僕は、“とにかく笑っていること”を鷹村から教えられました。人生、苦しいことも悲しいこともあるでしょうけれど、そういう時も自分に発破をかけられるのは、多分、笑うことなんです。たとえ表面的でも、いい状態でいることが大事だと、鷹村として身を通して感じました

高畑:

私はやっぱり春之介さんの、一生懸命がカッコいいな、と思いました。“がむしゃらのカッコよさ”というか、どんなに汚くなっても、カッコ悪く見えても、とにかく熱意でいけば通じることがあるんだな、と。春之介さんがお金を工面する際も、その姿勢が人や人の心を動かしたんだな、と感じました

―では最後に、“引っ越し”にまつわる思い出を何か教えてください。

引っ越し大名!

星野:

一人暮らしを始めたときは、うちが八百屋だったので、そのトラックに6帖一間の部屋へ入るだけの荷物を積み、パッと終わってしまいました。現代は、何かと便利に引っ越しが終わってしまいますね。ただそれに合わせて断捨離にもなるのが、引っ越しのいいところですね

高畑:

私も引っ越しに思い出がないのですが、断捨離はいいですよね。でも捨てるものとそうでないものを、どう区別しますか?

星野:

見始めるときりがないから、僕はリズムで片づけます。中身を見ないようにして、リズムで捨てていく

高畑:

でも捨てられないもの――例えば古いお守りとか、すごく迷ってしまって

星野:

確かに困るよね

高橋:

それはちゃんと神社に返しましょう。別にそれを買った神社じゃなくても、いつでも受け付けてくれるところがありますから

高畑:

さすが物知り(笑)一生さん!! やっぱり何でも知ってますね~

Profile


						星野源 音楽家・俳優・文筆家 片桐春之介役 1981年生まれ、埼玉県出身。音楽家・俳優・文筆家。ドラマ、映画の主な出演作に「箱入り息子の恋」「地獄でなぜ悪い」(13)、「コウノドリ」シリーズ(15・17)、大ヒットドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(16)「未来のミライ」(18・声の出演)など。ライブ映像作品『DOME TOUR "POP VIRUS" at TOKYO DOME 』が発売中。
						高橋一生 俳優 鷹村源右衛門役 1980年生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台と幅広く活躍。近作に映画「空飛ぶタイヤ」「億男」(すべて18)、「九月の恋と出会うまで」(19)など。現在、TBSドラマ「凪のお暇」に出演中。公開待機作に、映画「ロマンスドール」がある。
						高畑充希 女優 於蘭役 1991年生まれ、大阪府出身。近作に「DESTINY 鎌倉ものがたり」(17)、「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」「町田くんの世界」(共に18)など。福田雄一監督、山﨑賢人共演の新作「ヲタクに恋は難しい」が2020年公開予定/
撮影=米田渉 取材・文=折田千鶴子 スタイリング=TEPPEI(星野)、秋山貴紀(高橋)、Shohei Kashima(W/高畑) ヘアメイク=高草木剛(VANITES/星野)、田中真維(マービィ)、市岡愛(PEACE MONKEY/高畑) 衣装協力=シャツ(ファッチーズ)¥28,000/4K、靴¥65,000/パラブーツ 青山店(以上、高橋)、ワンピース ¥38,000 JUN OKAMOTO/PR01(以上、高畑)

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