THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE73 女優 吉岡里帆 俳優 高杉真宙

「“見えない”表現は、本当に難しかったです」(吉岡) 「事件を通して成長していく春馬の変化を見せたいと思いました」(高杉)

―9月20日全国公開のスリラー映画「見えない目撃者」で、吉岡さんは猟奇殺人事件の犯人を“耳で”目撃してしまう、目が見えない元警官なつめを演じられました。“目が見えない”ということも含め、役作りは、これまでと違うアプローチが必要だったのではないでしょうか。

見えない目撃者

吉岡:

これまでも癖のある役は多かったのですが、今回はハンディを抱えて心を閉ざしている、というのがスタート地点。エンターテイメント作品としては、最初に観客の心を掴み、ずっと一緒に走っていただかなければならないので、鬱屈した気持ちを抱えつつ戦っていくなつめの芯の強さをどう出すか、より慎重に、冷静に表現していこうと思いました。一方で“目が見えない”という表現は、本当に難しかったです。準備期間に取材をさせていただき、日々の生活についてなど積極的にお話して下さった皆さんに、すごく助けられました。監督はじめスタッフみんなで相談しながら作り上げていった感じです。

―一方で高杉さんが演じた、同じ事件を目撃する高校生の春馬も、孤独を抱えているという役ですね。

見えない目撃者

高杉:

最初は孤独を抱えていますが、どんどん成長していく、そのスタートとゴールが分かりやすいので、その変化を分かりやすく見せたいと思いました。春馬が“夢”を抱くようになる物語の流れに、事件を共に戦った刑事たちの思いの引継ぎや“希望”になれたらいいな、と思いながら演じました。

―それぞれ、なつめ、春馬に対して共感は持てましたか。

見えない目撃者

吉岡:

諦めない心というか、絶対に逃げちゃいけない瞬間があって、そういうときの人間の底力や強さには、すごく共感しました。なつめも追い込まれ、とにかく自分の中から掻き集め、振り絞って何とか頑張ったんだろうな、と。

高杉:

春馬をはじめ登場する少年少女たちの、色んなことに対する諦めや興味のなさは、高校生くらいの時期にありがちだと思うんです。僕はやりたいことがあったから迷わず仕事に就けましたが、迷ったまま大人になっていくって、すごく怖いことだと僕もよく分かります。

「観る前の期待を完全に超えられる作品になったと思ういます」(高杉) 「真っ直ぐで純粋な光が灯っていて、その光がパーッと開く瞬間があるんです」(吉岡)

―本作のような、本格サスペンス・スリラーに出演された感想を教えてください。

見えない目撃者

吉岡:

アクション映画やスリラー映画は、映画館で観る醍醐味のひとつ。ずっと好きだったので、挑戦できて嬉しかったです。アクションのお稽古も楽しかったです!

高杉:

僕も海外の作品は色々観ますし好きですが、あまり日本映画でここまでの作品を観た覚えがないので、参加できて嬉しかったです。ワンシーンワンカットに時間をかけて撮っていく、現場の熱意や雰囲気もスゴくて。ドキドキハラハラを覚悟して劇場に来ていただいたとしても、実際はその期待を完全に超えていけると思います。出演した自分でさえ、ビックリしたシーンがいくつもありましたから。

吉岡:

私も、シリアスな面もある作品ですし、2か月じっくり時間をかけて撮ったので、犯人にたどり着くまでゆっくり進むのかと思っていたんです。完成した作品を観たら、想像以上にスピード感があって驚きました!ノンストップスリラーとは言い得て妙だなと(笑)。また猟奇的な描写も逃げずに描いていますし、スリラーやサスペンスファンの方にも楽しんでいただけると思います。でも実は、本作には真っ直ぐで純粋な光が灯っていて、その光がパーッと開く瞬間があるんです。大切な誰かと、あるいは一人で手に汗を握りしめながら観ていただけたら嬉しいです。

Profile


						吉岡里帆 浜中なつめ役 1993年生まれ、京都府出身。主な作品に、ドラマ「きみが心に棲みついた」(18)、「健康で文化的な最低限度の生活」(18)、映画「音量を上げろタコ! なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(18)、「パラレルワールド・ラブストーリー」(19)、「ホットギミック ガールミーツボーイ」(19)などがある。
						高杉真宙 国崎春馬役 1996年生まれ、福岡県出身。09年、舞台でデビュー。主な作品に、「散歩する侵略者」(17)、「虹色デイズ」(18)、「ギャングース」(18)、劇場版アニメ「君の膵臓が食べたい」(18/声の出演)「十二人の死にたい子どもたち」(19)、「映画 賭ケグルイ」(19)など。
撮影=野崎航正 取材・文=折田千鶴子 スタイリング=圓子槙生(吉岡)、石橋修一(高杉)ヘアメイク=高取篤史(吉岡)、堤紗也香(高杉)

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