THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE76 女優 天海祐希

オリジナルを意識するより、この映画の世界観の中できちんと演じることが大事だと思いました

最高の人生の見つけ方

―最高の人生の見つけ方」(10月11日公開)は、ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマン主演の同名映画を原案にした作品ですね。

「もちろん私も公開時に拝見していました。あの名優2人の主演作として話題でしたし、それは素晴らしい作品です。ただ今回、舞台を日本に移し、主人公を女性2人に変えた時点で、オリジナルを意識し過ぎても仕方がない。この映画の世界観の中で、きちんと演じることが大事であると思いました」

“余命宣告を受けた大金持ちの女社長・マ子”を演じられるうえで、どのようなことを意識されましたか。

「吉永小百合さんが私に声を掛けて下さったとお聞きしたら、やるという選択しかない、ですよ。私は役にあまり共通点を探して役を作らない方で…。台本を読んだ時点で、自分の感覚はどうでもいい。演じる人物は、こういう感情を持って、こういう行動をする、ということを丸ごと受け入れるだけ。AからBにいこうが、AからCに行こうが、“あ、この人は、そうするのね”という納得の仕方です。台本に書かれたことをそのままやり、台本の行間を埋めることが役割だと思っています」

―つまり現場に入る瞬間、天海祐希ではなく、既にマ子が感じて動いている、ということですか?

「そうではなく、大事なのは役者同士の掛け合いかと。瞬間、瞬間、自分たちの感情が動かなければ、お客様に何かを感じてもらうのは無理だと思うので、相手の役者さんが投げて来るボールを感じて、自分の感じたボールを投げるという作業が大事になると思っています」

映画を観た方が、1日1日を最高に過ごしていただけるようにと願いを込めた作品です

最高の人生の見つけ方

―吉永小百合さんと共演された感想を教えてください。

「常に小百合さんは全力で、一生懸命で、本当に素晴らしいんです。あれだけのキャリアがあり、あれだけの女優さんですが、本当に全身でぶつかってお芝居をされる。その姿に毎日、心を打たれました。だからこそ、この方は、こうしてここにいらっしゃるんだな、と思いました。普段の小百合さんは、とても慎ましく、自分のことより人、人、というタイプの方なんですよね。そうでありながら、スクリーンで圧倒的に魅力が伝わるって素晴らしいな、と思いながら見ていました」

―マ子と専業主婦の幸枝さんの2人は、12歳の少女が書いた“死ぬまでにやりたいことリスト”を代わりに体験していくことで、自分たちの幸せをも見出していきます。

「マ子さんにとっては、すべてが最高で最後のものだったんじゃないかな、と思います。だって代わりとして経験したことすべてが、2人にとって未知の世界のことだったし、さらにタイムリミットが迫る中、“これが最後かもしれない”と思いながらの経験は、感じる濃度が違いますから。でもいちばん最高の幸せを感じたのは、マ子が“あること”を幸枝さんに伝えようとした時ではないかな、と思います。そこは映画を観て下さい! 2人の旅の続きが、さらに素敵なことになっているので。映画を観た方お一人お一人が、1日1日を最高にすごしていただけるように、“最高の人生!”だと思えるように、と願いをこめて作った作品です」

Profile

天海祐希 女優 剛田マ子 1967年生まれ、東京都出身。95年に宝塚歌劇団を退団後、女優として多くの映画やドラマ、舞台に出演。映画「千年の恋 ひかる源氏物語」(01)、「恋妻家宮本」(17)、「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」(17)、舞台「子供の事情」(17)、「修羅天魔~髑髏城の七人 Season極」(18)、「贋作 桜の森の満開の下」(18)、ドラマ「女王の教室」(05)、「BOSS」シリーズ(09、11)、「緊急取調室」シリーズ(14~19)など多彩な作品に出演。
撮影=野崎航正 取材・文=折田千鶴子 スタイリング=東知代子 ヘアメイク=竹下フミ

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