THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/VOICE85 女優 のん

「私が演じた愛は感情を出すことを躊躇しない子なので、気持ちがよく、清々しかったです!」

星屑の町

―25年も続いてきた舞台「星屑の町」シリーズの映画化にあたって、ヒロインに抜擢された感想を教えてください。

「こんなすごい方たちが集まった作品に参加できるなんて、そうそうないので、すごくワクワクしました。25年も続けて来られた舞台なので、皆さん結束力が強く、そこに入るのは緊張しましたが、控室も和やかで。普通のお喋りでさえ、映画にできるくらい面白くて。出来上がった世界観を壊してはいけないと、緊張し、借りて来た猫のように居ました。でも実は、私が監督した『おちをつけなんせ』で、お母さん役を演じていただいた春木みさよさんが、初演舞台で、私が演じた愛ちゃんを演じられていたと知り、運命的な繋がりを感じました」

―地方回りの売れないコーラスグループ“ハローナイツ”を演じた、小宮孝泰さん、大平サブローさん、ラサール石井さん、でんでんさん、渡辺哲さん、有薗芳記さんたちとの思い出は?

「皆さんすごく優しくて、気さくに話しかけてくださいました。ラサールさんは、私が雑誌で『スパイダーマン:スパイダーバース』を熱く語っていた記事を読んでくださって、そのプリントパーカーをプレゼントしてくださいました」

星屑の町

―歌手になるという夢に破れても前向きな愛ちゃんを演じた感想は?

「怒る時は思いきり怒り、悩むときはすごく悩む。感情を出すことを躊躇しない子なので、気持ちがよく、清々しかったです。ただ、歌を歌わなければならない、という大変さはありましたが……」

―その昭和ムード歌謡の熱唱が素敵でした!

「最初は、私一人で担うのは荷が重いと心配でしたが、とにかく練習に打ち込んで、どうにか自分なりの歌になったんじゃないか、と思いました。「新宿の女」や「恋の季節」などもすごい歌詞ですが、そこも挫折した愛ちゃんの気持ちと重ねていければいいな、と。「ほんきかしら」は原曲を聞き、動画を見て、首を傾げる仕草なども研究しました」

―ギターで弾き語りをするシーンもありましたが、カッコ良かったですね。

「あれも“のんがギターを弾けるから”と始まった部分でしたが、エレキはずっと弾いてきましたが、アコースティックに触った経験があまりなかったので不安でした。しかも弾き語る歌がすごく難しかったので……。でも、挑戦できてよかったです」

「これからも衣装を自分で作っていけたらいいな、と思っています!」

星屑の町

―監督・主演を兼任された「おちをつけなんせ」を経て、映画に向かい合う姿勢に少し変化が生じましたか?

「改めて役者って難しいな、と思いました。ただ、小さなことでクヨクヨしたり、変に気が張っていたり、ということはなくなりました。監督は、撮影に入ったら画面の中のことしか考えていない、と身をもって体験したので、今回はおおらかにいられました」

のん

―衣装の話が出ましたが、のんさんは、自身で洋服を作られてもいますよね。

「仕事が落ち着いたら洋服モードに入り、お裁縫をしています。昨年も“毎日がクリスマス”というライブイベントを行ったのですが、その時の衣装も自分でデザインをして縫ったものです。トルソーに布を貼り付けたものをパターンに起こしてもらって。これからも衣装を自分で作っていけたらいいな、と思っています!」

Profile

のん 女優 久間部愛役 1993年生まれ、兵庫県出身。「この世界の片隅に」(16)、「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」(19)で主人公・すずの声を演じる。創作あーちすととして、また、音楽レーベル「KAIWA(RE)CORD」を発足し自ら代表を務めるなど活動の幅を広げている。
撮影=野崎航正 取材・文=中村美奈子

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