THE VOICE|special interview:「映画にかける思い」映画業界に関わる著名人の方々に、さまざまな角度やテーマで映画にまつわるお話をしていただきます。/voice96 女優 恒松祐里

「実際に起こりそうなリアリティがあるなと思いました」

きさらぎ駅

-『きさらぎ駅』(6/3公開)は恒松さんの初めての主演映画ですが、オファーを聞いたときはどう思いましたか?

“きさらぎ駅”の都市伝説はオファーをいただいた時に初めて知ったんですが、実際に起こりそうなリアリティがあるなと思いました。私も毎日のように電車に乗るので、寝過ごして、どこか知らない異世界に行ってしまったらどうしよう? と思ったし、そういう身近な恐怖が感じられる都市伝説ですよね。でも、初めての主演映画で、この役をいただけて、すごく嬉しかったです。私が演じた春奈が謎に迫っていく過程は台本を読んでいてもおもしろかったので、撮影に入るのがとても楽しみでした

きさらぎ駅

―“きさらぎ駅”に迷い込む“装置”とも言える、数人しか乗っていない電車内での撮影はいかがでした?

あの一連は、終電以降に貸し切り状態の電車で撮影しました。出来上がった映画で観ると怖いんですけど、撮影のときはけっこうバタバタでしたね。電車を何度も走らせて撮ることができないから、芝居のタイミングを間違えちゃいけない。みんな、そういう緊張感を持ちながら撮影に挑んでいたんですけれど、絶対にミスしちゃいけないというその緊張感がある意味怖かったです(笑)

きさらぎ駅

―真っ暗なトンネル内での撮影の思い出は?

トンネル内での撮影はスゴかったです! トンネルの中の撮影は初めてだったんですけれど、本当に真っ暗で、一番怖い現場だったかもしれない。もしあのトンネルに「懐中電灯も持たずにひとりで入れ!」って言われても、私には無理ですね。だから逆に、撮影という仕事の中で体験できてよかったなと思います

その記憶のなくなり方と言うか、忘却力の強さが一番怖いかもしれないです(笑)

きさらぎ駅

―この世に存在しない“きさらぎ駅”という異世界での体験を書き込んだ投稿者と思われる、葉山純子役の佐藤江梨子さんとの共演はいかがでしたか?

劇中の純子さんはどこか不気味な女性ですけど、実際の佐藤さんはとても面白い方でしたね。一緒に撮影する時間はすごく短かったんですけど、私は佐藤さんが選ばれる言葉のセンスがすごく好きで。もっと話していたかったって思うぐらい素敵な方だったから、舞台挨拶などでまたお会いするのが楽しみです

きさらぎ駅

―春奈が“きさらぎ駅”で出会う女子高生の明日香を演じた本田望結さんの印象は?

本田さんは子役のころからこの仕事をされているからすごくしっかりされていて、終盤にかけて一緒にお芝居を組み立てていくのがすごく楽しかったです。でも、女子が集まるとやっぱりワイワイしちゃうんですよね! 後半で芹澤興人さん演じるほろ酔いのサラリーマンに驚かされるシーンがあるんですけれど、芹沢さんのメークがおもしろかったから、リハーサルの時はふたりで爆笑しちゃいました(笑)

きさらぎ駅

―恒松さんの、これまでの人生の中で一番怖かった出来事も教えてください。

怖かった出来事は特にないんです…お化けも見たことがないし、霊感もない。ただ、私は物忘れがけっこう激しくて。本当にすぐ忘れちゃうから、その記憶のなくなり方と言うか、忘却力の強さが一番怖いかもしれないです(笑)。もしかしたら、怖い経験もしているのかもしれないけれど、それを忘れちゃったのかもしれない。台本のセリフはちゃんと覚えていて、心がドキドキするような悪い記憶だけがなくなるので、都合がいいんですけどね(笑)

きさらぎ駅

―この映画を経験して、“きさらぎ駅”の都市伝説をもっと知りたいという気持ちになってないですか?

なってないです! 本当に異世界に行ってしまったらイヤですから(笑)。調べたことも多分すぐに忘れちゃうと思います(笑)

Profile

恒松祐里 女優 堤春奈役 1998年生まれ、東京都出身。 05年にドラマ「瑠璃の島」で子役デビュー。大河ドラマ「真田丸」や映画『散歩する侵略者』(17)、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」など、映画やドラマ、舞台に多数出演。19年の映画『凪待ち』では、おおさかシネマフェスティバル2020にて新人女優賞を受賞している。
撮影=木村篤史 取材・文=イソガイマサト スタイリスト=武久真理江 ヘアメイク=安海督曜 衣装協力:lilith art duct chabi jewelry

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