
映画業界に関わる著名人の方々に、様々な角度やテーマで映画にまつわるお話をまとめました。
長濱 ねる俳優
今回が映画初出演だったので、ヒロイン役を務めることに大きな不安を感じました。ただ、台本を読んだ時にとても新鮮な作品だと感じましたし、お仕事系ムービーなのですが、自分たちが普段携わっている映像制作の裏側が描かれていて、とても興味深かったです。ぜひ参加させていただきたいと思いました。
最初は、自分とはあまり似ていないなと思いました。美里は物怖じせずに目上の人にも自分の意見をしっかり伝えられる人物。ですが台本を読み進めるうちに、アイドルをしているからこそ、俳優さんへリスペクトがあることや、現場での立ち振る舞いを大切にしていることがわかってきて、その部分にはとても共感しました。わたし自身もお芝居を始める前はアイドルとして活動をしていたので、その感覚はよく理解できました。
そうですね。自分では意識していなくても、周囲からは元アイドル、アイドルをやりながら俳優も…と見られることがあります。それは仕方のないことですし、作中にもそういったセリフがあります。
だからこそ、それを理解した上で自分にできることを一生懸命やっていこうという点は共感できるという話を中島さんとしました。
撮影期間中ずっと現場を明るくしてくださって、空気づくりなど本当に引っ張っていただきました。監督とも以前ご一緒されたそうで、仲が良いお二人の信頼関係があったので、現場の雰囲気も最初からとても良かったです。居心地よく過ごせました。
また、中島さんは思い切りの良さがあって、とてもチャーミングな方でもあるんです。演じられた麗司は、一見するとプライドが高くて近寄りがたい人物なのですが、時折見せるお茶目な部分が中島さんご本人にも通じていて、だからこそ愛されるキャラクターになったのだと思います。
最初のほうなのですが、麗司がプロデューサーにデモ曲を聴かせるシーンです。わたしはそのシーンの撮影に参加していなかったので試写会で初めて観たのですが、思わず声を出して笑ってしまいました。
中島さんのエンターテインメント性が存分に発揮されていて、麗司のチャーミングな感じが出ていましたし、後から聞いたら、あのシーンはアドリブで踊っていたそうなんです。とても勉強になりました。
お芝居については柔軟にいろいろな方の意見を聞いて、それで一番いい方法を探っていきたいと思うのですが、インタビューやSNSなどの自分の言葉を発信する場面では、自分が納得した言葉を届けたいと思っています。齟齬なく伝えたいなという思いがあります。
そうですね。世の中に向けて発する言葉については、衝動的にならないように意識しています。一度世に出た言葉は訂正したくても簡単には取り消せませんし、多くの方がさまざまなタイミングで目にします。だからこそ、じっくり考えて言葉を選ぶようにしています。
そうですね。10代から25歳くらいまでは、まさに焦りと戦っていました。理想の自分になれないことや、できない自分に直面すると苦しくて、とにかくがむしゃらに頑張っていました。
でも今は、さまざまな年代の先輩方とご一緒する中で、焦っても、みなさんがいる素晴らしいところにすぐには追いつけないと感じていますし、お芝居は自分で成長を実感しにくいので、一歩ずつ目の前のことを積み重ねるしかないんだと思うようになりました。なので、以前ほど自分を追い込まなくなった気がしています。
台本を読んだ第一印象の時から面白くなりそうだと思っていましたが、映像になった作品は、しっかり芯のあるお仕事系映画になっていました。どこまでコメディにするのか、どこまでフィクションにするのかを探りながら作っていた作品でしたが、人の感情や個々のキャラクターの成長が丁寧に描かれていて、観ている方は一生懸命働くことの素晴らしさを感じられる作品になったのではないかなと、わたし自身もうれしく思います。
かなりリアルだと思います。それぞれの役に実際のスタッフの方がついて指導されていて、マイクや照明の角度など、本物の現場の空気が反映されていたと思います。まさに自分たちが普段している映像の現場が描けたのではないかと思いました。
わたし自身もドラマの仕事を始めるまでは、何回も同じシーンを撮り、撮影の段取りやリハーサル、本番までの流れを知らなかったんです。この作品をきっかけに映像制作の仕事に興味を持ってくれる方の助けになれたらうれしいです。あとは夏公開なので、ご家族で観に行っていただけるとうれしいなと思っています。
行くほうだと思います。一番後ろの席に座ることが多いです。普段の休日は一人で過ごすことが多いのですが、映画は友人を誘って一緒に行くことが多いです。
そうですね。地元の友人と仕事終わりに合流して映画を観て、「あのシーンはどういう意味だったんだろう?」とか、「あそこはこういうことだったのかな?」と話しながら答え合わせをするのが好きです。
数年前に『ケイコ 目を澄ませて』(22)を観た時に、映画館で映画を観る意味を改めて感じました。あの映画は、音の表現が本当に繊細で、街の音や朝の空気まで伝わってくるような感覚があったんです。
最近でも『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(26)など、IMAXで観る映画体験もありますし、ミニシアター系の作品も映画館で観る映画は違うなと思います。わたしは音や空間を大切に感じるタイプなので、映画館で映画を観るのが好きですね。
わたしは普段どちらかというと省エネで生きているタイプなんです。傷つきそうだったら先に距離を取ったり、失敗しそうだったら、ちょっと別の方法を考えたり、先回りしてしまうことが多いんです。
でも、美里という役を演じてみて、仕事に対して真っ直ぐ熱く向き合う姿勢は、本当に素敵だなと思いました。
自分の意見をきちんと伝えて、相手の言葉も受け止める。そういう生き方の魅力を美里から教えてもらった気がします。
変わったと思います。美里と重なるのですが、わたしは20代半ばから本格的にお芝居を始めたので、どこかで引け目を感じていました。まだわからないことも多いですし、キャリアも浅い、という思いから、自分の意見を飲み込んでしまうことも少なくなかったんです。
でも美里を演じていて、自分の考えを伝えることや、人としっかりディスカッションすることは、ある意味、相手へのリスペクトがあるからこそできることなんだと感じました。
それ以来、現場でも以前より自分の意見を伝えるようになりましたし、人との対話を大切にするようになったと思います。
何度観ても楽しい作品になっていると思いますし、映像制作の裏側をリアルに描いた作品なので、とても新鮮だと思います。今の時代、殺伐としていてわたしも疲れてしまうことがあるのですが、軽やかに楽しめる作品になりました。その中で熱くなることや頑張ることの素晴らしさも描かれています。日々を頑張るみなさんの背中をそっと押せる作品になっていたらうれしいです。

BIOGRAPHY
1998年9月4日生まれ、長崎県出身。2019年に「欅坂46」を卒業後、俳優として活動し、透明感のある佇まいと繊細な表現力で存在感を発揮している。2023年にはNHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」(22)に出演。以降、ドラマ「ウソ婚」(23)のほか、近年は「おコメの女-国税局資料調査科・雑国室-」(26)「ストーブリーグ」(26)などの話題作に出演中。